アメリカでの出版は2005年です。
今から7年も前なのですが、その内容には古さをほとんど感じません。
(状況は当然古いものもありますが、コアは新鮮さを帯びています。)
ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代 ダニエル・ピンク 大前 研一 三笠書房 2006-05-08 売り上げランキング : 1365 Amazonで詳しく見る |
最近、
いわゆる「ホワイトカラー」が従事するルーチン・ワークの大部分を、
「BPO(Business Process Outsourcing)」として、
(現時点で)比較的賃金の安い中国やインドにどんどんアウトソースしていますね。
私の勤めている会社でも、中国のグループ会社に間接業務をアウトソースすることが
多くなりました。
アウトソース先と絡みつつ仕事しながら思うのは、
これまで日本人同士だから通じていた
「少し間違えちゃったけど今回だけは勘弁してよ」
という日本人的融通が通じなくなったということです。
業務のアウトプットに正確性が増し、ルール遵守率が高くなった
という副次効果もあるでしょうが、
融通が効かないということは
アウトソースされている現場の人々は、
「何のための作業なのか」を理解しないままに指示通り、黙々とこなしている状況なんじゃないかと
感じてしまうのです。
こういうところから徐々に、
「作業の形骸化→なくてもいい仕事」化
になってるんじゃ、、なんて思ってしまいます。(もちろん、すべてじゃないですよ)
そんな作業は、委託せずに、いっそのことなくしてしまえばいいのに・・・。
みたいな英断ができないのも、日本らしいところですが・・・。
さて、話がそれましたが、この本には
ルーチン・ワークの大部分がアウトソースされることにより
「先進国のいわゆるホワイトカラーは、
海外に委託できないような新たな能力
を身に付ける必要に迫られている。
そして、(IT化による)オートメーションにより、
ひと昔前のブルーカラー労働者がロボットに職を奪われたのと同じような影響を、
現代のホワイトカラー労働者も受け始めた。」
と書かれています。
今、目の前にある、新しい貧困といっても過言ではないでしょう。
ご飯を食べていくためには
ITが出来ないような新しい能力(=ハイ・コンセプト)
を身に付ける必要性がある、ということ。
現在の私はITを売る身ですが
「海外に委託できないような新たな能力」 とは、
どのような新しい目的のために、どうITを活用していくのかを考え、
それをわかりやすく表現できる力ではないかと私は思います。
この力を駆使して提案しないことには、
いくら価格を安くしても
価値のない提案として、採用してもらえなくなってきているのです。
後半部分の、「活用方法」については、練習すれば表現することは出来るでしょう。
難しいのは、
お客様の課題や目的ってなんなのか、を
議論して現場に行って見て考えて、わかりやすく示唆すること。
みんな、さまざまな組織力学の中にいる。
ギュウギュウな満員電車の中で、無理矢理動いているようなものですから。
教科書通りのきれいごとを言ったって仕方ないんですよね。
「それはわかってますよ、でもね・・」って言われるだけです。
・ お客様の全てを見ながら(静的情報から、顔色まで!)
・ そのお客様に最も合う表現の仕方で、わかりやすく示唆する
・ 時には主張して納得してもらう
その力を鍛えるために、日々営業の現場で Try & Error していますが、
この本にも何かヒントが隠されてないかな~、と
後半も一気に読んでみたいと思います!